デジカメを使いこなすために

　デジタルカメラは銀塩カメラよりも多くの設定が可能である。設定できるのはホワイトバランス、カラー、階調、シャープネスだが間違ったセットをして撮影することは、赤外フィルムやタングステンフィルムを間違って使うのと同じであり、後から泣きを見ることになってしまう。まず初めにセッティングを変えると結果がどうなるかを知っておくことは大切なことであろう。

ホワイトバランスの設定による違い

　カラー、階調、シャープネスをすべてスタンダードに固定して、ホワイトバランスだけを変化させて撮影した結果を示そう。さて、ホワイトバランスの設定の違いはどのような結果として現れるだろうか？

Ｓ２ｐｒｏは２個のカスタムセッティングを含めて９通りのホワイトバランスを選べる。ここでは晴れの日にカスタムセッティングを変えて撮影した結果を示す。

これから分かるように、日中に「電球｣を誤って選択すると赤みの少ない青っぽい写真になる。また、昼光色蛍光灯は寧ろ青い色成分があるため赤みを補正するから、下の結果では赤みのある写真になっている。

通常は｢オート｣を選択しておけば間違いはないが、撮影するときの光の状況を的確に判断しておくと自然な撮影結果となるが、知って設定を変えることにより適当な色フィルターを掛けるのと同じような結果が得られるので積極的に使うことも考えたい。

カラーの設定による違い

　ホワイトバランスをオート、階調、シャープネスをすべてスタンダードに固定して、カラーだけを変化させて撮影した結果を示そう。さて、カラーの設定の違いはどのような結果として現れるだろうか？

カラーは標準であるスタンダードの他に、色の濃さを濃くする「ＨＩＧＨ」、薄くする「ＯＲＩＧＩＮＡＬ」、モノクロの「ＢＬＡＣＫ＆ＷＨＩＴＥ」を選択できる。

「ＢＬＡＣＫ＆ＷＨＩＴＥ」以外は大差ないようにも思えるが、右下隅の赤い屋根を比較すると傾向は分かる。

通常は「ＳＴＡＮＤＡＲＤ」、カールツァイスのような色のりを得たければ｢ＨＩＧＨ｣、画像処理を前提とするならば「ＯＲＩＧＩＮＡＬ」といった使い分けが適当なようだ。「ＢＬＡＣＫ＆ＷＨＩＴＥ」はカラーの彩度を下げても得られるので積極的に使う利点を理解するにはもう少し使い込んでみる必要がありそうだ。

階調の設定による違い

　ホワイトバランスをオート、カラー、シャープネスをすべてスタンダードに固定して、階調だけを変化させて撮影した結果を示そう。さて、階調の設定の違いはどのような結果として現れるだろうか？

　上の小さい写真では分からないので、下の写真を比較すると確かに階調性に違いが見られる。「ＨＡＲＤ」ではその様子が良く分かるが、「ＯＲＩＧＩＮＡＬ」と「ＳＴＡＮＤＡＲＤ」では差は少ないが山肌を比較すると僅かながら違いがあるようにも感じられる。勿論、写真によって異なるだろうから差が大きく現れる場合もあるのだろう。

シャープネスの設定による違い

　ホワイトバランスをオート、カラー、階調をすべてスタンダードに固定して、シャープネスだけを変化させて撮影した結果を示そう。さて、シャープネスの設定の違いはどのような結果として現れるだろうか？

　これも上の小さい写真では分からないので、下の写真を比較すると確かにシャープさに違いが見られる。「ＨＡＲＤ」では強調が効いていることが分かる。「ＯＦＦ」は少しもわっとした感じだが画像処理を前提にしているので当然だろう。

さて、通常の使用では…

　画質についての設定はホワイトバランス、カラー、階調、シャープネスが出来るが、通常の使用では、｢カラー｣｢階調｣「シャープネス｣は恐らく「ＳＴＡＮＤＡＲＤ｣で何の支障もないだろう。敢えて言えば、ちょっと気取ってモノクロで撮影するときに「ＢＬＡＣＫ＆ＷＨＩＴＥ」を使うくらいで満足できる結果が得られそうだ。

　ただし、ホワイトバランスの設定だけは気をつけて置いた方が良いようだ。｢ＡＵＴＯ」で十分だが、積極的に設定すると趣きの違う写真が撮影できそうである。

　Ｓ２ｐｒｏ以外の１眼レフを使い込んだことがないので比較は出来ないが、Ｓ２ｐｒｏでは独立した背面表示パネルで設定が出来るので使い勝手がすこぶる良い。しかもシャッターチャンスを逃さないようにシャッターを半押しするとすべてが撮影体制に入る。これは他のカメラでも同様かも知れないがストレスを感じさせないのは流石にデジタル１眼レフである。

（２００３．１０．５）